もう戻ることができないと思っていた昔
2009年 02月 23日
もう二度と戻ることができないと思っていた過去にたどり着ける
その島には私のまぶたの裏にかすかに残る景色が広がり
そこの人々には威厳の中にやさしさがある
2009@タイ、クレット島
突然思い出した高校時代に暗記した漢詩
白頭を悲しむ翁に 代りて (口語訳)
洛陽の城東の桃や李(すもも)の花は
ひらひらと風に舞い どこの家に落ちていくのか
洛陽の少女たちは 容色のうつろいやすさを思い
落花の季節になって 深いため息をついている
今年はもう花が落ちてゆくとともに 容色も衰える
明年花が咲く時には 誰がいることだろうか
松柏のような木も すでに薪となってしまうのを見る
更にその上桑田が 海と変ってしまうことも聞いている
昔のあの知り合いは もう洛陽に東には住んでいない
今ここにいる人も 落花の風に逢って嘆いている
年々咲く花は変らないが
年ごとに人は変ってしまう
言います 今を盛りの紅顔の美少年たちよ
どうかこの半ば死にかけた白髪の老人を憐れんでください。
なるほどこの老人の白髪頭は 憐れむべきものだが
これでもつい昔は紅顔の美少年だった
貴公子たちとともに 香しい樹のもとで
麗しい歌や踊りを 散りゆく花の下でおこなったものだ
高官のお屋敷の池の傍の高台では 美しい光景が開かれていて
大将軍梁冀(りょうき)が 神仙をえがいた楼閣もかくやと思うほどの
宴にも連なったものだ
しかしある日、病に臥してしまっては、交際する知りあいもいなくなり
あの春の日の行楽はどこへ行ってしまったのか
綺麗な眉の美女も その若さ美貌を誇れるのは、いつまでなのか
たちまちにして糸のように乱れた白髪になっててしまうことだろう
古来からの歌舞・遊興の地で繁華でもあったこの地も
今はただ、たそがれに、小鳥が悲しげに啼いているだけである
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by travel-arrange | 2009-02-23 20:18 | クレット島 | Comments(11)
後姿に、自分の影を見るようですが、不思議とわびしさは感じないですね。
そういえば、私も高校時代に各自好きなのを暗誦というのがあり、杜甫の春望(国破山河在・・・)と王翰の涼州詩(葡萄美酒・・・)を覚えたら今も時々出てきます、タイフリークとなる10数年前は中国好きで、NHKの漢詩ビデオを何巻も買って持ってます。(笑)
この前、車のナンバープレートが読める様なことを書きましたが、そこまで文字が読めるのでなく、76の県名を覚えているのでホンの少し分かる文字を当てはめる・・・ってな程度です。(笑)
高校時代に暗誦した漢詩。
あのころはなぜこんなくだらないことをさせられるのだろうと思っていましたが、今になってみると漢文の先生に感謝しなければなりません。
覚えているのといないのでは、胡椒数粒分ぐらいの人生の差が出来ます。